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【研究成果】深層ダイヤの生成過程解明 ~地球深部の研究につなぐ~

 本学理学研究科地学専攻博士過程後期2年の前田郁也さんと大谷栄治名誉教授らの合同研究グループが、ダイヤモンドがマントルの底部で生成される仕組みを解明した。




 地球の内部は中心から鉄合金を主とする内核と外核、岩石が対流するマントル、地表に近い地殻に分かれている。ダイヤモンドは、海洋プレートが地球内部に沈み込んでいき高温高圧の環境下に置かれることで生成される。

 多くのダイヤモンドは高温のプレートの沈み込みに伴い、地下約200キロメートルのマントル上部で生成されるという仕組みが先行研究により知られていた。地下400キロメートル以深のマントル中部から下部で出来たとされるダイヤモンド「Super Deep Diamond」も今まで少数発見されていたが、生成過程は解明されていなかった。

 今回の研究で用いた観測方法は、ダイヤモンドアンビルセルを用いた高圧実験。ダイヤモンドアンビルセルとは、直径100から300マイクロメートルのダイヤモンドの先端部で試料を挟み込んで押し、高圧力を再現する装置のこと。炭酸塩鉱物とケイ酸鉱物に装置で圧力をかけ、さらにレーザーで高温状態に置ことで下部マントルの環境を再現した。条件を変えて実験を重ねたところ、地球表面の約134万倍の圧力であるマントル底部の条件下でダイヤモンドの生成反応が確認されたという。この結果から、低温のプレートの沈み込みに伴って炭酸塩鉱物とケイ酸鉱物が反応を起こし、マントル底部でダイヤモンドが生成されるという仕組みが明らかになった。

 また、観測には兵庫県の大型放射光施設「SPring‐8」も使用された。放射光を物質に照射し、その回折角度により対象の物質を解析することができる。一周1436㍍もの大きさの円形の施設でX線を照射することで、高い強度を保ちつつ微小な対象物に正確な照射をすることができるという。

 「Super Deep Diamond」の生成場所が特定されたことにより、地球内部を構成する物質が判明することが期待される。鉱物が生成される過程では、しばしば周囲にある物質が鉱物中に包有物として取り込まれる。その包有物は、地表に出てくる途中の温度圧力変化や鉱物の破砕により損なわれてしまうことがある。しかし、ダイヤモンドはその構造から非常に硬い鉱物であり、包有物が影響を受けにくい。包有物を研究することで、人類にとって未知数な地球の深部解明に繋がる。前田さんは「高圧実験の観点から地球の深部炭素をもっと研究していきたい」と今後の研究について意欲を見せた。
研究成果 5643274374283703666
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