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文学研究科 鈴木岩弓教授最終講義 ~宗教学を現代に役立てる~

 文学研究科の鈴木岩弓教授による最終講義「学問救世 ~宗教民俗学と臨床宗教師~」が先月18日、本学文系総合講義棟において行われ、学内外から多数の参加者を集めた。今回の講義は、鈴木教授が年度末で定年退職することに合わせたもの。鈴木教授は2011年3月に発生した東日本大震災以降、被災者への心のケアに活躍した「臨床宗教師」という宗教者について詳しく触れることで、世の中の役に立つ学問(学問救世)としての宗教学を語った。




 臨床宗教師とは、医療機関、福祉施設といった公共空間で人々に心のケアを提供する宗教者のことをいう。地震や津波などにより、遺族が前もって心の備えをすることができない「突然の死」が発生した震災直後、神社や教会からの宗教者が被災者に対するサポートや犠牲者の弔いをボランティアで行った。しかし、避難所という公共の場所で布教や伝道といった宗教活動をすることは難しく、さらに宗教者と被災者たちとの宗派が異なる場合もあったため、宗教・宗派を超えた心のケアができる宗教者が必要とされていた。

 12年、文学研究科内に臨床宗教師の育成を目指す「実践宗教学寄付講座」が設置され、複数の宗教について触れたり、それぞれの宗教ごとにふさわしいケアの仕方を学んだりするといった内容で、一般の宗教者向けに研修を行ってきた。修了者は日本各地で活躍しており、臨床宗教師を育成しようという同様の試みは龍谷大学など計9大学で行われている。

 鈴木教授は教団と人々をつなぎ、両者の教義に対する姿勢の違いを調整するものとして宗教者、すなわち臨床宗教師が存在する重要性を説く。さらに本来宗教とは葬式によって死者だけを相手にするものではなく、自らの死を見つめてもらう「ターミナルケア」の作法があるという。ターミナルケアによって生者にも寄り添うことで、「死」と向き合う時間が長くなるこれからの超高齢多死社会においても宗教が役に立つ機会があるのではないか、と鈴木教授は解説した。
講演会 4994161755796359168
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