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【サイカフェ】プレートテクトニックな宝石 ~美しく輝ける「石」と地球史~

 第138回東北大学サイエンスカフェ「プレートテクトニックな宝石~美しく輝ける『石』と地球史~」が、先月17日にせんだいメディアテークで開催された。東北アジア研究センターの辻森樹教授が講師を務め、幅広い年齢層の参加者が熱心に耳を傾けた。




 宝石はその色や輝きによって、他の岩石とは違う特別な価値を見出されている。しかしどのような過程を経て生み出されるのかを考える人は日本において少ないという。辻森教授は「宝石と科学のイメージを結びつけてほしい」と前置きして講義を始めた。

 地球を覆うプレートの境界には、プレート同士が離れて広がる境界、沈み込んで狭まる境界、すれ違ってずれる境界の3種類がある。このうちの狭まる境界に沿って宝石が生まれる。代表的な宝石であるヒスイは、ナトリウムとアルミニウムを含む水流体の成分が飽和してかんらん岩の割れ目に沈殿することでできる。プレートの沈み込みと共に高圧の環境に置かれて「ひすい輝石」として組成が安定し、密度の小さい蛇紋岩に含まれて地表に上がってくる。

 原動力である地球表層を覆うプレートの動きは、数億年かけて行われるダイナミックなもの。「成因の考察を通して地球内部の動きを知ることができる」と辻森教授は宝石を研究することの意義を語った。

 また、46億年の地球史のなかで、ヒスイがおよそ5億年前より若い時代にのみ存在が確認されるというデータが提示された。若い時代に限定される理由について、地球の誕生時は非常に高温だった地球内部の温度が、ヒスイが生成されるまでに下がったことが考えられるという。ヒスイには地球冷却の歴史を読み取ることができるという意義もある。

 参加者からの質問の時間では、テーブルごとに議論し、質問を取りまとめて代表者が発言した。物理学や歴史学の立場から地質学に対抗した説を投げかける場面もあった。

 会場には辻森教授が野外調査で採取したヒスイとルビーが展示され、イベント終了後も参加者は展示物を囲み教授と言葉を交わす様子が見られた。参加者は「教科書に載っていない話を聞き、元々あった興味がさらに深まった」と顔をほころばせた。
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